連載 星夜の逸品 -児玉光義-

ドームなび GOTOプラネタリウム投映支援サイト

故広瀬秀雄先生の手沢本 1/5
~『日本天文史料綜覧』と『日本天文史料』~

更新日 2013.7.7

1.西暦775年のミステリー

2013年6月6日の木曜日、NHK BSプレミアムで、コズミック・フロント≪西暦775年のミステリー~宇宙 謎の大事件~≫という番組が放送されました。
名古屋大学の大学院で博士課程を専攻している三宅芙沙さんという女子学生が、戦後間もなく伐採された樹齢1,900年ほどの屋久杉の、600年代から500年間の年輪を調査したところ、西暦774年から775年にかけて、宇宙線が大気中の窒素や炭素の分子に衝突したときにできる微量の放射性物質(炭素14)の量が、平均の20倍という急激な変化を示すことを発見したというのです。
このことが、イギリスの科学雑誌『ネイチャー』に掲載されると、地球に大量の宇宙線が飛び込んできた原因は何だったのだろうかと、世界中の科学者が調べはじめました。
イギリスのケンブリッジ大学図書館にある『アングロサクソン年代記』の写本の774年のところに、「天に赤い十字架が現れた」とあるから、それは超新星爆発に違いないとか、ドイツの修道院に伝わる『ラテン語の文書』の776年のところに、「赤く燃えさかる2枚の盾が教会の上を動いて行くのを見た」とあるから、太陽活動によるオーロラの出現ではないかとか、また、中国の唐の歴史書『旧唐書(くとうしょ)』に、「夜、東の方角の月の上のあたり、ぎょしゃ座からふたご座、うみへび座にかけて、10あまりのまるで絹のような光沢のある光の帯が現れた」とあるから、これもオーロラの出現に違いない、というようなことです。

2.にすすむ >

このページのトップへ