連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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故広瀬秀雄先生の手沢本 2/5
~『日本天文史料綜覧』と『日本天文史料』~

更新日 2013.7.7

2.日本天文史料

番組の中に日本の古い文献が出てこないのは、774年から775年にかけて、この手の天文現象の記述が日本の古文書にはなかったからでしょうか。調べてみることにしました。とは言っても、日本書紀や日本紀略、続日本紀などに直接当たるというわけには行きません。しかし、日本には『日本天文史料』という素晴らしい資料があります。
『日本天文史料』は、神田茂先生が日本における彗星の記録を整理しようと、東京帝国大学名誉教授の平山信博士に相談したところ、日本における全ての天文記録の蒐集整理を勧められました。そして、昭和6年度(1931)から3年間、東京帝国大学教授の平山清次博士との共同事業として、東照宮三百年祭記念会から研究費の補助を受け、日本天文記録の蒐集にあたることになり、昭和9年(1934)3月になって、古代より戦国時代までの天文記録の蒐集を完了したのでした。
記録の大半は、東京帝国大学史料編纂所と東京帝国大学図書館の書籍によって蒐集し、記録の蒐集と整理は、広瀬秀雄理学士と史料編纂所勤務の大崎正次が担当しました。こうして、記録の蒐集がほぼ終了した昭和9年度に、日本学術振興会から出版費用の援助をうけて、『日本天文史料綜覧』と『日本天文史料』として出版されたのです。

『日本天文史料綜覧』『日本天文史料』

↑(写真)『日本天文史料綜覧』と『日本天文史料』

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