連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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望遠鏡最初の付属品 1/6
~世界的発明と称された『太陽投映機』~

更新日 2013.12.18

「プラネタリウムと天体望遠鏡」展

平成17年(2005年)6月のはじめの頃だったと思う、当時、株式会社五藤光学研究所のプロダクションカンパニーでコンテンツ制作とミュージアムマネジメントを担当していたK君に、来年の夏に町田市立博物館で当社企画の特別展をやるので手伝ってほしいと声をかけられました。その後、何回かミーティングに参加しましたが、1年以上も先の話とあってなかなかうまく進みません。そうこうしている間に、博物館の学芸員の方から、こういうふうにしたい、あういうふうにしたいという提案が出てくるようになりました。その中に、「転換期の天文学」というのがありました。それに困ったK君が、私の自宅に相談に来たのは11月の半ば過ぎでした。プラネタリウムや天体望遠鏡の話なら問題はないのだが、これはどうしたらよいのだろうかというわけです。
私たち日本人は、江戸時代の半ばころまでは、中国で発達した天文学を学んでいました。しかし、それからわずか100年たらずのうちに、西洋の人々が何千年もかけて作り上げてきた天文学の知識を、吸収・理解するまでになりました。つまり、この間に何が行われたのかを明らかにするのが「転換期の天文学」ということでしょう。

(写真)古代中国の天体観測機器

↑(写真)古代中国の天体観測機器

そこで、K君に、私の手許にある幕末から明治初期にかけての天文書や物理書をお見せし、その他、仙台市天文台所蔵の象限儀や渾天儀、長野県上田市立博物館所蔵の国友藤兵衛製作のグレゴリー式反射望遠鏡などをお借りして展示してはどうかと提案しました。
しかし、町田市立博物館の展示室は相当広いので、プラネタリウムや天体望遠鏡、転換期の天文資料だけではとても埋まりません。そこで、野尻抱影先生のコーナーを設け、先生の愛用した望遠鏡「ロングトム」や膨大な著書、遺品などを展示する案を作りました。

(写真)プラネタリウムと望遠鏡展展示案

こうして、ようやく「プラネタリウムと天体望遠鏡展」の大筋が決まりました。

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