連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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望遠鏡最初の付属品 4/6
~世界的発明と称された『太陽投映機』~

更新日 2014.1.15

カタログや雑誌広告に現れた「太陽投映機」(前編)

五藤齊三氏が、日本光学時代に開発し五藤光学創立後に製品化したこの太陽投映機は、その後、どう発展していったのでしょうか。
太陽投映機が最初に現れたカタログは、昭和4年(1929)に発行された、天文台をバックに「五藤式天体望遠鏡 Gotoh Astronomical Telescopes」という見出しで、4吋の重錘式運転時計の付いた据付型屈折赤道儀の横に、創業者の五藤齊三氏が立っているイラストの入った青色のカタログです。ちょっと余談ですが、このイラストの基になった写真が、今も残っていますので、カタログとともに紹介します。

(写真)昭和4年発行のカタログ

↑(写真)昭和4年発行のカタログ

(写真)イラストの基になった写真

↑(写真)イラストの基になった写真

ところで、この青色の昭和4年発行のカタログには、口径32mm、焦点距離300mmの「オリオン号」や、口径38mm、焦点距離500mmの「リーラ号」、口径41mm、焦点距離750mmの「コメット号」、口径47mm、焦点距離800mmの「アポロン号」などの天体望遠鏡のイラストとともに、詳細な説明文が掲載されています。この内、コメット号とアポロン号には、太陽投映機が付属しています。

(写真)アポロン号とその説明文

↑(写真)アポロン号とその説明文

アポロン号の説明文に、
「尚本機には弊所の特許品たる太陽投映機を付属す、本品は径1米半迄の太陽像を白幕上に投映し得るものにて黒点白紋等の太陽現象を一時に多人数にて鮮明に観察し得らる。又之に顕微鏡標本を挿入すれば甚だ優秀なる日光顕微鏡となり、学校用として教授の徹底と能率の増進に必備のものたり。」とあります。
右側の天体望遠鏡のイラストをよく見てください。格納箱の上に何か載っています。少し大きくしてみましょう。

(写真)格納箱の上に載っている太陽投映機

↑(写真)格納箱の上に載っている太陽投映機

アポロン号の説明文に、
左の方の小さいのが「サングラス」で、真ん中のが「接眼鏡」、右側のが「太陽投映機」です。しかし、「日食観測会で太陽投映機を操作する五藤齊三氏」の写真にある太陽投映機とは形が違います。そうです、これは前回のウラノス号のところで紹介した、「プリズム式の太陽投映機」です。

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