更新日 2014.2.26
それでは、五藤式40×~80×天体望遠鏡「組立キット」の紹介をいたしましょう。
↑(写真)カタログと同じポーズで撮った「組立キット」
↑(写真)昭和31年発行の五藤式 学習用 天体望遠鏡のカタログ
昭和31年(1956)3月発行のカタログによれば、
40×~80×天体望遠鏡組立キット
(組立指導書付)
・・・キットの内容・・・
対物レンズ(レンズ枠入り)・・・・・・・・・・1個
種類 二枚合わせ色消し
鏡径 42mm
焦点距離 1,000mm
接眼部・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1個
焦点調節用ドロチューブ付
接眼鏡・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1個
ハイゲン式H12.5mm(80×)とH25mm(40×)の
組合せ型
サングラス・・・・・・・・・・・・・・・・・1個
太陽黒点観測用
マウンティング・・・・・・・・・・・・・・・1個
筒受け、回転部およびカラー付
¥3,000 (荷造り送料 ¥150)
とあり、説明文に、
「鏡筒に市販のブリキの竪樋(¥50~80)1本、三脚用に垂木(¥100ぐらい)1本と木の切れ端し少々を用意すれば、添付の組立指導書によって、小学児童にでもたやすく組立てられて、しかも本ものの望遠鏡に少しも劣らないほど、すばらしくよく見える天体望遠鏡組立キットです。しかもレンズの口径は42mmの大きさをもち、当所多年の経験を使って特殊に設計したものですから、収差の少ないことは多くの専門家が推奨している自慢の製品で確信をもっておすすめできるものです。小学校の高学年や中学及び高等学校生徒の理科教育の好材料です。
★天体望遠鏡は物体がさかさまに見えるものですから地上の景色を見るには、地上接眼鏡を用います。地上接眼鏡は別に用意してあります。
地上接眼鏡(33×) ¥1,500 (荷造り送料 ¥150)」とあります。
説明文には、「ブリキの竪樋1本、三脚用に垂木1本と木の切れ端し少々を用意すれば、添付の組立指導書によって、小学児童にでもたやすく組立てられて、」とありますが、先にも述べたように、そう簡単にできるものではありません。従って、ヨハンソンさんの義父も、組立てることができず、屋根裏部屋にしまったままになったのではないでしょうか。
ところで、キットの定価の3,000円というのは、現在の価格ではいくらになるのでしょうか。昭和29~32年の大学卒業程度の国家公務員の初任給は8,700円です。また、平成25年の大学卒業程度の総合職の初任給は181,200円ですから、59年前の約20倍です。従って、組立キットを現在の価格に直すと、約60,000円ということになります。完成品の「ダイアナ」は、当時8,500円ですから、今の価格で170,000円ということになります。随分高価だったのですね。
< 3.にもどる | 5.にすすむ > |