更新日 2014.8.6
ところで、昭和4~5年頃のコメット号の鏡筒は、真鍮の引き出しパイプか、アルミのパイプで作られていたと思われます。しかし、昭和10年代になると、物資が不足し、望遠鏡の鏡筒もトタンで作られるようになったようです。私の入手したコメット号の鏡筒も、トタンを丸めて作ったもので、外側に黒色のシボが貼られています。
対物レンズ枠は、1インチ望遠鏡やアポロン号と同じで、露帽と一体化したデザインのものです。勿論、光軸修正装置はありません。1インチ望遠鏡の対物レンズ枠は木製ですが、アポロン号とコメット号のものは、アルミの無垢材から削り出したもので、外装は黒の半艶塗装です。ただし、鏡筒に入る部分は、塗装がきれいに削ってあります。
↑コメット号の対物レンズ枠の外形図
↑コメット号の対物レンズ枠
対物レンズは、鏡径が41mmで、有効径は40mm(正確には39.5mm)です。対物レンズは、枠には鏡筒の方から入れて、ねじ込み式の押えリングで止めます。
接眼部もアルミ製ですが、ドロチューブは真鍮のパイプで、直接、焦点調節用のラックが切ってあります。ピニオンハンドルは、簡単な取付けでご覧のように片ハンドルです。
↑コメット号の接眼部
外装は、接眼部は黒の半艶塗装で、ドロチューブはクロームメッキです。
↑コメット号の鏡筒の外形図
鏡筒は、先にも述べたように、トタンを丸めて作ってあり、外側には黒色のシボが貼ってあります。昭和4年のカタログの説明文には、「鏡筒は長さ約650粍(白色塗)にて架台とは筒受金具の二個の捻子により着脱し格納容積を小になし、従って携帯も至便である。」とあります。
架台は、単純な経緯台式で、下に掲げたわずか9個の部品から出来ています。
↑コメット号の架台の部品
筒受と三脚の足を取付ける台座は、アルミの鋳物でできていて、外装は黒の半艶塗装です。筒受を支え、水平回転する軸は真鍮製で、台座に差し込んで下からリングで押える構造です。
実は、この単純な経緯台に、実に素晴らしい機能が隠されています。
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