連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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戦前の「コメット号」 12/12
~数奇な運命を辿ったダイアナ号とコメット号(その1)~

更新日 2014.8.20

付属品は、昭和4年のカタログによれば、
  ハイゲン式12.5mmの天体用接眼鏡 60× 1個
  地上用接眼鏡 30× 1個
  サングラス
  ダイアゴナルプリズム
  木製三脚
  格納箱
となっています。地上用接眼鏡の倍率が30倍ということは、焦点距離が750÷30=25mmということになります。
また、『子供の科学』昭和5年9月号のコメット号の広告にある付属品は、
  天体用接眼鏡 50×
  地上用接眼鏡 15×
  サングラス
  天頂観測用プリズム
  格納箱
となっています。
しかし、私がこのコメット号を入手したときに入っていたのは、
  ハイゲン式の12.5mm 60×の天体用の接眼鏡
  地上用接眼鏡 T=30mm 25×
だけでした。

(写真)コメット号に付属していた天体用接眼鏡

↑コメット号に付属していた天体用接眼鏡

天体用のハイゲン式の接眼鏡は、型式が≪H.12.5mm≫と彫刻されたちょっと珍しいものでした。社名は戦前のものですから、当然≪GOTO KOGAKU≫と彫刻されていますが、白色の塗料が入れられていたかどうかは分かりません。

(写真)コメット号に付属していた地上用接眼鏡

↑コメット号に付属していた地上用接眼鏡

地上用の接眼鏡は、型式が≪T=30mm≫と彫刻され、社名が≪GOTO KOGAKU≫と彫刻されたものです。従って、倍率は25×となって、昭和4年のカタログや『子供の科学』昭和5年9月号の広告とは違うものでした。
また、失われてなかったサングラスと天頂プリズムは、下の写真のようなものだったと推測されます。

付属品と想像されるサングラスと天頂プリズム

↑付属品と想像されるサングラスと天頂プリズム

ところで、当時は格納箱も付属品の一つに数えられていました。この格納箱には、下のような名板が貼られています。

コメット号の格納箱に貼られた名板

↑コメット号の格納箱に貼られた名板

実は、この名板から、このコメット号が昭和13年~17年の間に作られたことが分かるのです。何故なら、戦前、五藤光学が株式会社だったのは、昭和13年~17年までのわずか5年間だけだったからです。

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