連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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戦前の「コメット号」 5/12
~数奇な運命を辿ったダイアナ号とコメット号(その1)~

更新日 2014.7.2

『科学画報』のヴィナス号

ところで、『科学画報』の昭和4年(1929)3月号に、突然、科学画報社代理部の名前で「高級色消対物鏡付 ヴイナス天体望遠鏡」の大見出しの広告が掲載されました。

(写真)『科学画報』昭和4年3月号の広告

↑(写真)『科学画報』昭和4年3月号の広告

「発売」と大きく書かれた下に、「色消黄金時代に入らんとする望遠鏡界に突如として現れたる高級機を見よ!」とあります。そして、土星の写真の下には、「初めて現れたる完全なる色消対物レンズにして口径三十二粍、色収差、球面収差共に極度迄修正せられたる第一級品、・・・・・云々。」と書いています。
この広告にある、
 口径32mm、焦点距離800mm、「ヴィナス号」
 ハイゲン式12.5mm接眼鏡、倍率64倍
 定価(特価)30円
が最初の色消対物レンズを搭載した天体望遠鏡の仲間のように思われます。

(写真)ヴィナス天体望遠鏡の「説明書」①

↑(写真)ヴィナス天体望遠鏡の「説明書」①

(写真)ヴィナス天体望遠鏡の「説明書」②

↑(写真)ヴィナス天体望遠鏡の「説明書」②

「発売」の横に〔説明書贈呈〕とありますが、これこそが、以前「1インチ望遠鏡の謎」のところで紹介した「ヴィナス号天体望遠鏡の説明書」です。
このヴィナス号の説明書には、残念ながら「最初の色消対物レンズ」という記載は一切ありませんが、これだけ立派な説明書を作っているところをみると、やはり、このヴィナス号も、色消の対物レンズを搭載した最初の天体望遠鏡の仲間だったように思うのですが、いががでしょうか。

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