更新日 2014.7.9
ダイアナ号とコメット号の広告が最初に現れたのは、『子供の科学』の昭和5年(1930)9月号です。
↑(写真)『子供の科学』昭和5年9月号に掲載された広告
ご覧のように、ダイアナ号とコメット号の2機種だけのために見開き2ページを使った堂々たる広告です。
「研究完成新発売品 五藤式高級天体望遠鏡」のタイトルのもと、「弊所の受けたる名誉と光栄と信頼」と銘打って「日本海々戦二十五年記念海と空の博覧会金牌受領・優良国産品審査合格証受領・新案特許権九個受領・文部省東京博物館に上納・台湾大学理学部に上納・所沢陸軍飛行学校に上納・江田島海軍兵学校に上納・吉江、小倉、両理学博士、藤井医学博士等学界の名士御買上。」として、コメット号を紹介しています。
また、左ページには、「当所に於ける過去五年間の普及型天体望遠鏡改良研究は茲に其成果を納めて趣味者用学校用の二種の最終型を完成し華々しく其目的を達成したり。今後当所は断じて通信販売的低級品の製作を為さず。
本機の如き其機能と機構に於て小なりと雖も天文学術の研究に迄使用し得べき高級品たる事を断言す。当所は充分なる製作良心と自信を以て本機を提供すべきに依り御購求後御不満の方に対しては即時返金すべき事誓言す。」と勇ましく述べています。
趣味者向コメット号というのは、今でいう「アマチュア向け」ということでしょうか。「野外型」とあるのは、ダイアナ号の「卓上型」に対することばで、文字通り野外(屋外)で使用するためのものという意味でしょう。しかし、コメット号とダイアナ号のどちらも、対物レンズの口径や焦点距離の記述はありません。ただ、コメット号の倍率が、天体用が50×、地上用が15×、ダイアナ号の倍率が、天体用が50×、地上用が10×、とあるだけです。対物鏡の焦点距離は、コメット号が750mmでダイアナ号が800mmとすると、50×ということは接眼鏡の焦点距離が、それぞれ15mmと16mmとなります。しかし、当時そのような焦点距離の接眼鏡はありません。従って、カリスト号同様、「雑誌広告の倍率は当てにならない」ということが分かります。また、「詳細型録及説明書贈呈」とあります。当時、ダイアナ号とコメット号の両方の天体望遠鏡が紹介されたカタログがあったのでしょうか。
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