更新日 2014.7.30
これまで述べてきたような理由で、古い天体望遠鏡をいろいろ探しているときのことです。平成22年(2010)8月30日、ヤフーオークションに五藤式天体望遠鏡の戦前のものと思われる、古い望遠鏡が出品されました。早速、K君と相談して入札することにしました。そして、9月2日に無事落札することができました。4日に現物が届きましたので、分解清掃し、対物レンズの鏡径を測ったところ、ちょうど41φでした。その後、再び組み上げ、7日に対物レンズの焦点距離の測定を行いました。その結果、750mmだったので、この望遠鏡は、コメット号の初期型のものと確信しました。
↑分解清掃中のコメット号
五藤光学が最初に製造販売した1インチ望遠鏡の後、望遠鏡には「愛称」が付けられました。ウラノス号、アポロン号、ダイアナ号、コメット号、ヴィナス号、リーラ号、オリオン号等がそれです。主に、ギリシャ神話の神々の名前や星座の名前、天体の名前などが付けられました。しかし、これらの愛称は、カタログや定価表、雑誌広告、説明書、などに使われますが、一部例外はありますが、天体望遠鏡そのものや格納箱等には表示されません。従って、天体望遠鏡だけ見たのでは、それが何という愛称の望遠鏡かは分かりません。望遠鏡とともに使用説明書があればよいのですが、失われて無い場合は、愛称を知るには、カタログや定価表と突き合わせ、対物レンズの口径(鏡径または有効径)と焦点距離、架台の型式、三脚(伸縮または直脚の別)、付属品(種類と数)などを比較して判断しなければなりません。
今回、ヤフーオークションで落札した望遠鏡は、対物レンズの鏡径が41φであること、焦点距離が750mmであること、鏡筒の長さが約660mmであること、および、架台の形状、二段伸縮の木製三脚の形状などから、コメット号に間違いないと判断しました。ただ、鏡筒が黒かったのには驚きました。
それでは、今回入手したコメット号を紹介しましょう。
格納箱の大きさは、縦195mm、横870mm、高さ150mmで、厚さ10.6mm(3.5分)~12mm(4分)の板でできています。そして、鏡筒、架台、三脚、接眼鏡などの付属品が全て納まるようなっています。
↑コメット号の格納箱
↑コメット号の格納状態
↑戦前のコメット号
写真のように、三脚の足をいっぱいに伸ばすと、鏡筒を五尺(1.5m)の高さまで持ち上げることができます。
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