更新日 2014.11.12
昭和28年(1953)4月改訂の「定価表」には、ダイアナ号の記載はありません。ところが、昭和30年(1955)11月改訂の「定価表」に、ダイアナ号はつぎのように出ています。
機構は経緯台で微動はなし、対物レンズの鏡径は42mmで、焦点距離は1,000mm、倍率は天体用が40×と80×、地上用が33×、付属品の天体用接眼鏡はH12.5~25mmの組合式、地上用は30mm、サングラスが付いて、定価は8,500円です。
昭和23年(1948)7月改訂のカタログでは、対物レンズの口径が58mmで、定価が11,000円でした。それが、対物レンズの鏡径が42mmで、定価が8,500円とはどういうことでしょうか。手許にある、昭和31年(1956)3月発行の「五藤式 学習用 天体望遠鏡」というカタログにダイアナ号の写真がありました。
↑昭和31年発行のカタログ
↑昭和31年のカタログに掲載されたダイアナ号の写真
それは、『科学知識』の昭和3年12月号に掲載されたダイアナ号や、『子供の科学』の昭和5年9月号の掲載された卓上型のダイアナ号、昭和5年のカタログに掲載されたダイアナ号の、どのダイアナ号とも違う姿のものでした。
説明文には、「ダイアナ(DIANA)」のタイトルで、
「小中学校における天文科学の初歩を指導するのに、最小限度の予算で、ご購入いただけるものであり、天文ファンが最初に入手せられる望遠鏡としても充分観測上ご満足をえられる好適品です。ことに対物レンズは、当所快心の設計になるもので、色消しの完全さは他の追随を許さない完全品です。性能は次のとおり高級品におとらない優秀性をもち、操作しやすくていさい優美です。」とあり、性能として、
対物レンズ
種 類 二枚合わせ色消し
鏡 径 42mm
焦点距離 1,000mm
分 解 能 2.90″
極限等級 9.9等
倍 率
天 体 40×、80×
地 上 33×
付属品
接 眼 鏡・・・・・・・・・・・・・2
ハイゲンスH12.5~25mm(組合わせ型)
地 上 T30mm
サングラス・・・・・・・・・・・・1
定 価
8,500円
となっています。
それにしても、この鏡径42mmの天体望遠鏡は、いつかどこかで見たような気がします。そうです、『里帰りした「組立キット」』のところでお話した、中学生の頃、一緒に天体観測をした酒屋の一人息子、T君が持っていた望遠鏡です。この望遠鏡は、昭和29年(1954)~昭和34年(1959)に作られた、『五藤式40×~80×天体望遠鏡「組立キット」』を基にして作られた望遠鏡です。ベークライト製の対物レンズ枠や接眼部、筒受け、接眼鏡などがそのまま利用されました。手許に使用説明書がありますので紹介しておきます。
↑ダイアナ号の使用説明書
組合わせ接眼鏡の使い方や天体の導入の仕方、太陽の観測方法などが紹介されています。
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