連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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戦後の「コメット号」 2/12
~数奇な運命を辿ったダイアナ号とコメット号(その2)~

更新日 2014.9.3

(5)昭和5年のカタログには、「ダイアナ号」は、口径が41mmで、焦点距離が800mm、接眼鏡はH12.5mm(64×)とH25mm(32×)、地上用が(12×)、挿絵によれば架台は経緯台で、三脚は木製の二段伸です。

(写真)昭和5年のカタログに掲載されたダイアナ号

↑昭和5年のカタログに掲載されたダイアナ号

定価は65円(付属品全部付)と46円(付属品が天体用接眼鏡とサングラスのみ)です。
(6)『科学画報』昭和5年11月号に掲載された「ダイアナ号」は、口径が36mmで、焦点距離の記載はなく、倍率が天体用50×、地上用10×とあるだけです。挿絵によれば架台は経緯台で、卓上型のスタンド式の三脚です。定価は55円(付属品全部付)と30円(地上用接眼鏡と天頂プリズムのないもの)です。
また、「コメット号」は、口径が32mmで、焦点距離の記載はありません。ただ、倍率が天体用50×とあるだけです。挿絵を見ると架台は経緯台で、三脚は木製の二段伸です。定価は55円(付属品全部付)と40円(地上用接眼鏡と天頂プリズムのないもの)です。

(写真)『科学画報』昭和5年11月号のダイアナ号とコメット号

↑『科学画報』昭和5年11月号のダイアナ号とコメット号

(7)昭和11年のカタログには、「ダイアナ号」と「コメット号」は掲載されていません。
(8)昭和13年2月改訂の定価表には、「コメット号」は、口径が40mmで、天体接眼鏡60×、地上接眼鏡30×、定価70円とあるだけです。また、挿絵はありませんので、架台と三脚については分かりません。

(写真)昭和13年2月改訂の定価表に掲載されたコメット号

↑昭和13年2月改訂の定価表に掲載されたコメット号

これまで見てきた中で、『科学画報』昭和5年11月号の対物レンズの口径の記述を除けば、コメット号には、あまり大きな違いはなさそうです。しかし、ダイアナ号には、大きな形態上の違いがあります。『子供の科学』昭和5年9月号と『科学画報』昭和5年11月号のダイアナ号は、学校用の卓上型のスタンド式の三脚ですが、『科学知識』昭和3年12月号と昭和5年のカタログのダイアナ号は、二段伸の木製三脚の野外用の趣味者向けのものです。定価も、前者が55円で後者が65円と10円も違います。同じ時期に、同じ愛称の天体望遠鏡が2種類も存在したのでしょうか、実に不思議です。その後、『科学画報』の昭和7年(1932)8月号に、「ダイアナ号 55円」と一行あるだけです。

(写真)『科学画報』昭和7年8月号の広告

↑『科学画報』昭和7年8月号の広告

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