連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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前田久吉著『日々これ勝負』15/16
~東日天文館建設の大難関~

更新日 2015.5.27

おまけ(2)

野尻抱影著の『星座巡礼』には、「星は周る」と題して、
「星は周る、年と共に周る。恐らく、星に親しんでいる僕等ほど季節の推移をはっきりと実感しうる者はあるまい。・・・・・・此の後とも僕は三星やシリウスに就て年々新しい思い出を加へて行く事だろう。そして、三十年、四十年、自分は素より全ての人が変り、世界の風物が変り、金剛不壊である筈の、たとへば忘れられぬ甲斐ヶ根の山貌も変る事があるかも知れぬが、今夜見るオリオン座の諸星は、其の時も秋の末には、牡牛・馭者・大犬・小犬・双児の星々と一糸乱れぬ系統を作って東から静かにさし昇っているだろう。」とあります。

(写真)野尻抱影著『星座巡禮』大正14年 研究社刊・野尻抱影著『星座遍歴』昭和33年 恒星社厚生閣刊

↑野尻抱影著『星座巡禮』大正14年 研究社刊
  野尻抱影著『星座遍歴』昭和33年 恒星社厚生閣刊

これは、後に『星座遍歴』抱影随筆選集Ⅲに、
「星は夜とともに周り、年とともに周る。恐らく、星に親しんでいる人達ほど季節の推移をはっきりと実感しうる者はあるまい。・・・・・その後とも私は三つ星やシリウスについて年々に新しい思い出を加えて行くことだろう。そして、三十年、四十年、自分はもとよりすべての人が変り、世界が変り、金剛不壊であるはずの、たとえば忘られぬ甲斐ヶ根の山貌も変ることがあるかも知れないが、今夜見るオリオンの星々は、その時も秋の末には、牡牛・馭者・大犬・小犬・双子の星々と一糸乱れぬ系統を作って東から静かにさし昇っているだろう。」と、より洗練された文章になって再録されています。

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