連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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幻のウラノス号1型 4/20
~五藤式天体望遠鏡のベストセラーウラノス号の初期型~

更新日 2015.10.15

ウラノス号1型の鏡筒(2)

≪対物レンズ部≫

つぎに「対物レンズ部」ですが、鏡筒の図面からも分かるように、対物レンズ部には、露帽(デューキャップ)も、対物レンズの光軸修正装置もありません。

(写真)鏡筒枠、対物レンズ、対物レンズ押え、対物レンズ枠

↑鏡筒枠、対物レンズ、対物レンズ押え、対物レンズ枠

鋳鉄製の「鏡筒枠」と真鍮製の「対物レンズ枠」と「対物レンズ押え」、それに「対物レンズ」があるだけです。

(写真)ウラノス号1型の対物レンズ部

↑ウラノス号1型の対物レンズ部

ウラノス号1型の対物レンズは、鏡径が58mm、有効径が55mm、焦点距離が800mmのアクロマート色消しレンズです。凸レンズと凹レンズの2枚から成っていて、隙間を開けるための錫箔はありません。対物レンズは、望遠鏡の中で最も重要なもので、しかも非常に繊細なものですから、「対物レンズ枠」は、鉄のように錆びることのない、硬くて強い材料、つまり真鍮で作られています。そして、その対物レンズ枠が、鋳鉄製の鏡筒枠に入るようになっています。

(写真)対物レンズ部の各部の名称

↑対物レンズ部の各部の名称

重さは、鏡筒枠221g+対物レンズ枠53g+対物レンズ80g+対物レンズ押え23g=合計367gです。外装は、それぞれ黒の半艶塗装です。 ところで、天体望遠鏡は水平よりも上に向けて使いますので、対物レンズ押えは外側から押えるのが良いとされています。それは、対物レンズ枠を加工する場合、レンズの当たる面は旋盤によって完全な面に加工できるからです。一方、対物レンズ押えは、加工が完全でも、ネジにはわずかにガタがありそれで締めると、対物レンズに対して斜めに当たることがあるからなのです。しかし、ウラノス号1型の対物レンズは、内側から押えるようになっています。

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