連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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幻のウラノス号1型 6/20
~五藤式天体望遠鏡のベストセラーウラノス号の初期型~

更新日 2015.11.5

ウラノス号1型の鏡筒(4)

≪コーヒーブレイク≫

故五藤齊三氏は、1インチの天体望遠鏡を製造販売したとき、シングルレンズの望遠鏡をいつまでも販売するべきではないと考えていましたが、実はそれだけではなかったのです。経済的なことやその他の理由で、どうしてもシングルレンズの望遠鏡を買わざるを得なかった人々のために、後で対物レンズだけを買い替えれば、より口径の大きな色消レンズの望遠鏡に変えることができるように考えていたのです。つまり、シングルレンズの望遠鏡の鏡筒をあらかじめ太くしておき、その後に開発する色消の対物レンズの焦点距離を、すべて800mmに統一したのです。そして、先に紹介した『科学知識』昭和3年4月号のウラノス号(口径二吋四分の一)の広告の横につぎのような広告文を載せました。

(写真)『科学知識』昭和3年4月号の広告文

↑『科学知識』昭和3年4月号の広告文

それでは、どれぐらいの費用で改造できたのでしょうか。その答えは、『科学画報』昭和3年11月号の広告に見ることができます。

(写真)『科学画報』昭和3年11月号の広告

↑『科学画報』昭和3年11月号の広告

これを見ると、1インチ望遠鏡の甲号が40円でしたから、直径が58mmの対物レンズ(枠付き)が30円ですから、合計70円で、190円のウラノス号と同じ性能の鏡筒を手にすることができるというわけです。これは実に素晴らしいことです。
そこで、ふとこんなことを思いました。ウラノス号1型は正にこの時代の望遠鏡ですから、あるいは、ウラノス号の対物レンズが、そのまま1インチ望遠鏡の甲号の鏡筒に取り付けることができるのではないだろうかと。

(写真)1インチ望遠鏡の対物レンズ枠

↑1インチ望遠鏡の対物レンズ枠

(写真)ウラノス号1型の対物レンズ枠

↑ウラノス号1型の対物レンズ枠

しかし、上に掲げた2つの図面からも分かるように、そううまくは行きませんでした。

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