連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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幻のウラノス号1型 18/20
~五藤式天体望遠鏡のベストセラーウラノス号の初期型~

更新日 2016.1.27

ウラノス号1型の付属品(5)

≪天頂観測装置≫

天頂観測装置などというと、どんなに素晴らしい装置だろうと思いかも知れませんが、何のことはありません、単なる小さな天頂プリズムです。

(写真)ウラノス号1型に付属していた天頂プリズム

↑ウラノス号1型に付属していた天頂プリズム

鋳鉄製のプリズムハウスの大きさは31×32で、中に24×25の直角プリズムが入っていて、両脇を三角形の厚紙で押え、真鍮製の板で止めています。バレルは、外径が24.5φ、内径が22.5φ、肉厚が1mmの真鍮製です。接眼スリーブも、外径が26.5φ、内径が24.5φ、肉厚が1mmの真鍮製です。従って、重さが121gもあるとてもがっしりしたものです。

(写真)直角プリズムを押えれている燐青銅の板バネ

↑直角プリズムを押えれている燐青銅の板バネ

こんな小さな天頂プリズムが、とてもしっかりと作られていることに驚きますが、もっとびっくりするのは、直角プリズムを燐青銅の板バネで押えていることです。

(写真)プリズムが燐青銅の板バネで押えられている様子

↑プリズムが燐青銅の板バネで押えられている様子

最近のものでも、せいぜい黒のラシャ紙を挟んで押えているのが普通です。しかし、当時はこのような小さな付属品でも、まったく手を抜くことなくしっかりと作っていたことに嬉しくなります。

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