更新日 2016.3.7
↑1インチ天体望遠鏡の説明書
先に紹介した「1インチ望遠鏡の説明書」の表紙と、五藤式天体望遠鏡の構造のところを見ると、鏡筒と対物レンズ枠、接眼部が全て金属製で、外装が白と黒のエナメル塗装、焦点調節装置がラックピニオン式のものが≪1インチ望遠鏡の「甲号」≫で、鏡筒が紙製で対物レンズ枠と接眼部が木製、焦点調節装置が引抜式のものが≪1インチ望遠鏡の「乙号」≫ということです。そして、定価は「甲号」が40円、「乙号」が30円となっています。
これで、「甲号」と「乙号」の違いが明確になりましたが、五藤齊三氏の著した『天文夜話』によれば、
「自宅において二~三人の従業員を使って望遠鏡の組立を始めたわけである。最初は日本光学に頼んで三十ミリの単レンズを有効径二十五ミリ(一インチ)EL八百にして使った。望遠鏡の架台、三脚の鉄の棒三本は、日本光学の下請の土浦鉄工所に頼んで作ってもらい、筒は、ボール紙を幾巻にもして端末はサンドペーパーで削り、貼り付けた場所がわかり難いようにしてその上に白ペンキを厚く塗って貰った立派な鏡筒を作り、それを筒受金具にボルトで取り付けるという方法をとった。これらの部品を集めて、はじめは私の家の八畳と六畳の間の襖を取り払って家内一同が車座になって組立てた。」ということです。
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