連載 星夜の逸品 -児玉光義-

ドームなび GOTO投映支援サイト

製図用コンパスセット 4/22
~見事なデザインの製図機器~

更新日 2016.9.12

天球の仕組み(4)

<恒星の固有名>

また、星座による名称の他に、特に明るい恒星には昔から特別な固有名がつけられています。例えば、ベテルギウスやリゲル、スピカなどがそれです。それらは、ギリシャ、ラテン、アラビア語原で、そのうちアラビア系が最も多くあります。これは、中世に天文学の中心がアラビアに移った時代の名残です。

(写真)恒星の固有名(W. TIRION「SKY ATLAS 2000.0」)より

↑恒星の固有名(W. TIRION「SKY ATLAS 2000.0」)より

<太陽の年周運動>

日没のすぐ後に、西の地平線上に見える星座を、適当な間隔をおいて長期間観察すると、見える星座が西の方に移って行くのが分かります。同じように、日の出直前の東の地平線上に見える星座も、やはり季節とともに西に移って行きます。そこで、星座を固定して考えると、太陽が星座の中を日々西から東の方に動いて行き、ちょうど1年で星空を一周するように感じられます。これは、地球が約1年の周期で、太陽のまわりを公転しているために起こる見かけの現象で、これを「太陽の年周運動」といいます。この現象は、太陽だけでなく、各惑星についても起こりますので、その場合は「惑星の年周運動」といいます。

<黄道>

太陽の年周運動の道筋は、天球上の大円で、これを「黄道」といいます。また、黄道から90°離れた天球上の2点、つまり、観測者の眼を通り黄道に垂直な直線が天球と交わる点を、「黄極点(あるいは単に黄極)」といいます。

(写真)黄道

↑黄道

<分点と至点>

黄道も赤道とともに大円ですから、両者は天球上の2点で交わります。この点を「分点」といいます。この分点のうち、太陽が南から北へ赤道を横切る方を「春分点」といい、他方を「秋分点」といいます。
黄道と赤道は、約23.5°傾いていて、これを「黄道傾斜」といいます。黄道傾斜は、黄道面と赤道面の挟む角ですから、太陽は赤道から最大23.5°だけ南北に離れます。その内、黄道が赤道から最も北に離れる点を「夏至点」、南に最も離れる点を「冬至点」といい、両者を合わせて「至点」といいます。

<まとめ>

地球上の位置は、番地の他に、経度と緯度によって表されます。これと同じように、天体の位置は星座名とギリシャ文字の他に、赤経と赤緯によって表します。
赤経は、天の赤道の春分点を0時として反時計まわりに24時まで測ります。また、赤緯は、赤道を0°として天の両極の90°まで測ります。ただし、赤道よりも北側を+、南側を-で表します。従って、天体の位置は、
     赤経= ○○h ○○m ○○.○s
     赤緯=+○○° ○○′ ○○.○″
というように表されます。
実際の空には、もちろん天の赤道や黄道、子午線などの表示はありませんが、プラネタリウムではそれらを表示して観客の理解を助けるようにしています。また、赤道や黄道、子午線などの座標系の他に、天の両極を示す「矢印」、黄極点を示す「×印」、天頂を示す「+印」などの標識もあります。
私の最初の仕事は、アルミの定規と烏口を用いて座標系の原画を描き、それをもとに原板を作ることでした。

< 3.にもどる 5.にすすむ >

このページのトップへ