連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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製図用コンパスセット 5/22
~見事なデザインの製図機器~

更新日 2016.9.20

小型の英式コンパスセット(1)

プラネタリウムの座標系投映機は、プラネタリウムが設置されているドームの中心から、多少ずれたところにあります。従って、投映される座標系の原板上の目盛は、複雑に歪んだ線分になっています。最近は、コンピュータによる演算制御によって作製されますが、半世紀前にはドームに描いた目盛を撮影し、それをもとに作図して作っていたというわけです。作図には、アルミ板を削って作った曲線の定規と烏口(からすぐち)を使っていました。

(写真)烏口(からすぐち)

↑烏口(からすぐち)

烏口などと言っても、何のことか分からない人が多いと思いますが、実は、製図用のコンパスセットの一つです。先の方が烏の觜のようになっている「エッジ」と呼ばれるところにインクを入れて、定規を使って線を引く道具です。最近は、コンピュータを使ったCADで設計図を描きますが、それ以前は、製図用のコンパスセットを用いて手書きで描いていました。
私が、五藤光学に入社した頃は、既に烏口を使った製図から鉛筆を用いた製図に代わっていました。しかし、古い時代の人がまだ残っていて、その人に烏口の使い方やエッジの砥ぎ方などを教えていただきました。
また、烏口を用いて描かれた設計図の青焼きが、まだたくさん保存されていましたので、天体望遠鏡を自作する時の参考にと、据付型の15cm屈折赤道儀や20cm屈折赤道儀の青焼きを見せてもらいました。それは、A0の大きさの用紙に描かれた実に見事な図面でした。製図に関するJIS規格によれば、
図面の大きさは、原図および複写された図面とも紙の仕上げ寸法がA0~A4のもの。
輪郭および輪郭線は、図面に盛り込む内容の範囲を明確にし、用紙の端から生じる損傷で記載事項が損なわれないように、図面には輪郭を設ける。
とあります。また、線の種類は、
      実  線・・・連続した線。
      破  線・・・一定の間隔で短い線の要素が規則的に繰り返される線。
      一点鎖線・・・長短2種類の長さの線の要素が交互に繰り返される線。
      二点鎖線・・・長短2種類の線の要素が長・短・短・長・短・短の順に繰り返される線。
また、線の太さの比率による種類として、
細線・1、 太線・2、 極太線・4 などです。

(写真)五藤光学が最初に構想したプラネタリウムの図面

↑五藤光学が最初に構想したプラネタリウムの図面

上に天体望遠鏡ではありませんが、青図を掲げました。



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