更新日 2016.10.3
<英式中型コンパス>
↑英式中型コンパス:左が烏口、右は鉛筆用
つぎは中型コンパスです。昔はコンパスのことを「文廻」と言ったので、昔のカタログでは「小文廻烏口付」、「小文廻鉛筆用」と表記されています。材質は洋銀で、銅が50~70%、ニッケルが5~30%、亜鉛が10~30%の合金です。銅が多いと金色に見え、ニッケルが多いと白っぽく見えます。
洋銀の四角い棒を、互い違いに三角形に削り、折れ曲がるところは四角のままにしたデザインは、実に素晴らしい限りです。海外の製品も国産の製品もみな同じ形ですから、恐らく、どこかの工房で最初にこのデザインを考えた人がいて、それがあまりにも素晴らしかったので、みんながそのまま継承してきたのでしょう。
↑英式小型コンパスの烏口
中型コンパスの烏口も、スプリングコンパスの烏口と同じようにエッジが大きく開きますが、中に舌のような小さな板バネ(スプリング)がついています。これは、調整ネジを締めたり緩めたりして、エッジの開き具合を調整して線の幅を定めるためのものです。また、中型コンパスは洋銀でできていますが、エッジの部分は特殊鋼でできています。清掃や手入れ方法はスプリングコンパスと同じです。
↑コンパスの針の保持方法「引針式」
中型コンパスの烏口の反対側の脚の先端「穂」には、針が取り付けられています。針の保持にはいろいろ方法がありますが、KENT(内田洋行)の英式コンパスのものは、上の写真のように、穴の開いたネジの棒に針を通し、そのネジにねじ込んだナットを締めることによって針を固定する方式で「引針式」のものです。
< 6.にもどる | 8.にすすむ > |