更新日 2017.11.6
今から50年近く前に、会社の同僚とケービングを楽しんでいた時代があります。洞穴を、物理、化学、地学、生物、気象などによって総合的に研究する学問のことを、洞穴学(Speleology)といいます。しかし、これらの研究を進めるには、どうしても洞穴の奥深く入っていかなければなりません。そこで発達したのが、ケービング(洞穴探検)で、その語源は英語のケーブ(洞穴)から来たものです。
洞穴には、いろいろな種類がありますが、洞穴学の対象としては何といっても、石灰岩の中にできた鍾乳洞が主役です。
鍾乳洞は、洞穴の規模が大きいうえに、洞形が変化に富んでいるので、洞穴の奥深く入るには、それなりの技術と経験が必要です。そのため、はじめケービングは洞穴学の一部として発達しましたが、その後ケービングだけが分かれて一種のスポーツとなったのです。このケービングのときに使われるのが、クリノメーターと呼ばれる傾斜計を備えたコンパスです。
↑(左)竪穴を登る筆者 (右)クリノメーター
鍾乳洞の進行方向の、方位はクリノメーターの〔表〕のコンパスを使って測り、上り降りの角度は、照準を覗いてクリノメーターの〔裏〕の傾斜計で測ります。また、距離や幅などは巻尺を使って測り、洞穴の平面図を作ります。そうすることによって、洞穴全体の様子を知ることができます。
↑奥多摩町の倉沢鍾乳洞 八幡地獄下の実測図(1971年)
< 1.にもどる | 3.にすすむ > |