更新日 2017.12.11
しかし、天体写真は、専門家やアマチュア天文家でも、しっかりした赤道儀式の天体望遠鏡と、高級な一眼レフのカメラがないと楽しむことができません。そこで、それなりのカメラがあれば、誰でも天体写真を楽しむことができるようにしたのが、昭和47年(1972)に五藤光学が発売した、「ポータブル星野撮影赤道儀」です。
↑ポータブル星野撮影赤道儀
「ポータブル」とあるのは、携帯に便利な乾電池によるドライブ方式と、極軸望遠鏡による極めて容易なセッテングの意味によるのだそうです。
このポータブル星野撮影赤道儀の本体には、追尾望遠鏡として、レンズ径32mm 有効径30mm 焦点距離300mmの鏡筒が付属していて、6mm~9mmの接眼鏡を使い50×~33×として使用します。また、極軸照準望遠鏡として、6×18mm 実視界6° 標板付のファインダーが組み込まれています。手動追尾は、赤経ウォームに接続されたフレキシブルハンドルを用いて行います。従って、手動ガイドによる天体写真の撮影には、この本体だけでよく、重さは3.05kg、定価は(昭和47年当時で)25,000円です。また、モータードライブによるガイド用には、「交直両用の駆動装置」が用意されています。D.C. 4.5vで1rpmの高性能モーターを使用し、最大では極軸のウォーム軸で5~7kg/cm、速度調整が可能で、継続追尾は30分、重さは1.4kg、定価は(昭和47年当時で)20,000円です。
このポータブル星野撮影赤道儀は、天文部のH氏のアイディアを製品化したもので、昭和50年(1975)までに約300台を販売しました。しかし、何10分も手動でガイドするのはベテランの人でも大変ですし、モータードライブにしても、常にガイドスコープで監視し、コントロールボックスで修正するのは相当な苦労です。そこで、6年間のブランクの後に開発されたのが、「新型ポータブル星野撮影赤道儀“スカイグラフ”です。
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