連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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歴戦の勇士“スカイグラフ” 3/5
~格納箱の蓋がめくれ上がるまで活躍した新型ポータブル星野撮影赤道儀~

更新日 2017.12.18

3cmガイドスコープのこと

この「新型ポータブル星野撮影赤道儀“スカイグラフ”」は、五藤光学70年史『星・空・夢』に、「1979年~現在までに800台を販売した」とあります。しかし、「GOTO天体望遠鏡(付属品)総合カタログ」には、昭和53年(1978)から掲載されていますので、実際には、昭和53年から発売されたものと思われます。

(写真)1978年度版「GOTO天体望遠鏡(付属品)総合カタログ」

↑1978年度版「GOTO天体望遠鏡(付属品)総合カタログ」

今回紹介する逸品は、この“スカイグラフ”です。今から6年ほど前にヤフオクで落札したものですが、その後、瑞穂町の星仲間 Kさんに貸しておりました。
Kさんは、それまで天体写真には全く興味がなかったと思うのですが、突然、口径10cmの鏡筒と高級デジタルカメラを買い求め、太陽の写真を撮りはじめました。そして、たまには星座の写真も撮ってみたいというので、しばらく貸していたというわけです。
その「スカイグラフ」を、先日返していただきましたが、その時に、3cmガイドスコープをいただきました。
しかし、この3cmガイドスコープは、先に説明した初期のポータブル星野撮影赤道儀に付属していたものとは異なります。それは、昭和51年(1976)に発売されたマークX用の3cmガイドスコープMX-30でした。

(写真)マークXの3cmガイドスコープ と今回頂いたもの(右)

↑マークXの3cmガイドスコープ と今回頂いたもの(右)

この3cmガイドスコープのルーツは、昭和43年(1968)の8cm赤道儀に同架された「ファインダー9×30」にはじまります。つまり、レンズ径32mm、有効径30mm、焦点距離240mm、接眼鏡は双眼鏡用のケルナー26mmで、倍率は9倍、実視界5.5°のファインダーです。しかし、これでは倍率が低く、ガイドスコープとしては不十分です。そこで、対物レンズの焦点距離を300mmにして、接眼鏡に9mmを用いて33倍、6mmを用いて50倍としたのが、昭和47年(1972)に発売された初期のポータブル星野撮影赤道儀のガイドスコープです。さらにその後、昭和51年(1976)に発売されたマークXのガイドスコープMX-30や、MX-ⅡのガイドスコープMX-31として使われることになったというわけです。

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