連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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天体望遠鏡の格納箱「part 1」 1/5
~格納箱を見ればおおよそいつ頃のどんな望遠鏡か見当がつきます~

更新日 2018.1.22

銘板欲しさに格納箱を落札する

前回は、新型ポータブル赤道儀“スカイグラフ”の、ボロボロになった格納箱の話をしました。今回の「星夜の逸品」は、そのつながりで、天体望遠鏡の格納箱のお話しです。 2017年10月の初め、ヤフオクに古い五藤式天体望遠鏡が出品されました。架台や三脚・付属品等はなく、薄っぺらな板の粗末な格納箱に、古びた鏡筒が1本入っているだけのものです。

(写真)ヤフオクに出品された望遠鏡のイメージ図

↑ヤフオクに出品された望遠鏡のイメージ図

画像では、鏡筒は茶色の包装紙で巻かれていますが、ブリキのような金属製で、口径は55mm、鏡筒の長さは80cmだそうです。接眼部の合焦システムは、ラチェット式の抜き差し・回転式のものです。従って、鏡筒バンドといい、合焦システムといい、この望遠鏡の鏡筒は、五藤光学の製品ではないのではないか、と思われました。しかし、薄い板で作られた格納箱に貼られた銘板は、私の手許にない初めてのものでした。

(写真)今回の望遠鏡の格納箱に貼られていた銘板

↑今回の望遠鏡の格納箱に貼られていた銘板

そこで、どのような望遠鏡かは、落札した後にゆっくり調べることにして、天体望遠鏡博物館の担当者のNさんと協力して入札することにしました。幸い、思ったほど高額にならずに落札することができました。そして、Nさんが望遠鏡の鏡筒を、私が格納箱をというように分け合いました。その後、格納箱の構造や機能、格納箱に貼られた銘板、鏡筒等の調査から、この望遠鏡の正体を、ほぼ明かにすることができました。

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