連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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天体望遠鏡の格納箱「part 1」 5/5
~格納箱を見ればおおよそいつ頃のどんな望遠鏡か見当がつきます~

更新日 2018.2.19

1インチ望遠鏡(甲号)の格納箱(2)

格納箱の角の組み方も、単に二枚の板の両端を接合しただけの簡単なものではなく、板幅を三等分して片方は両端を切り落し、もう一方は中央の部分を切り取って組合せるという「3枚組み接ぎ」になっています。また、釘や木ネジで止めるのではなく、枘(ほぞ)を使った止め方をしております。

(写真)箱の角の「3枚組み接ぎ」と「枘」を使った止め方

↑箱の角の「3枚組み接ぎ」と「枘」を使った止め方

また、箱と蓋をつなぐ蝶番も、板の幅が13mmになったので、ひと回り大きな長さが36mmのものが使われています。ただし、オリジナルの蝶番はとても痛んでおりましたので、現在は新しいものと取り替えてあります。

(写真)蓋の開け閉め用に取付けられている「蝶番」

↑蓋の開け閉め用に取付けられている「蝶番」

つぎに、箱用金具ですが、これは野外用と同じ「つの字」です。

(写真)1インチ望遠鏡(甲号)の箱用金具「つの字」

↑1インチ望遠鏡(甲号)の箱用金具「つの字」

最後に、格納箱に貼られた銘板ですが、幅12mm、長さ49mmのとても小さなものです。

(写真)1インチ望遠鏡(甲号)の格納箱に付けられた銘板

↑1インチ望遠鏡(甲号)の格納箱に付けられた銘板

書かれている内容を見ると、土星のマークについで、
    Goto’s Telescope
    東京市神田区錦町 科学画報代理部発売
    東京市外駒沢町  五藤光学研究所製作
とあります。
このことから、この銘版は、販売元の科学画報代理部で作ったものか、製造元の五藤光学研究所が作ったものかは、はっきりしません。土星のマークは、五藤光学のマークがまだ出来ていなかったので、このクラスの望遠鏡で見たときに最も興味をそそる、環を持った土星の絵をアイキャッチャーにもってきたのではないでしょうか。

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