連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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天体望遠鏡の格納箱「part 2」 1/5
~格納箱を見ればおおよそいつ頃のどんな望遠鏡か見当がつきます~

更新日 2018.2.26

戦前のコメット号の格納箱(1)

前回は、単レンズの1インチ望遠鏡の格納箱を紹介しました。しかし、天文学の民衆化に取り組んだ五藤齊三氏は、いつまでもシングルレンズの望遠鏡を売るべきではないと考え、鏡径58mmのウラノス号や47mmのアポロン号、41mmのダイアナ号など、色消レンズを搭載した望遠鏡をつぎつぎと製造販売しました。特に人気のあったのは、有効径が40mmで焦点距離が750mmのコメット号で、今回は、そのコメット号のうち、戦前に製作された望遠鏡の格納箱の紹介です。
格納箱の大きさは、縦20cm、横87cm、高さ15cmで、それなりに草臥れた格納箱です。早速、貼られている銘板を見てみましょう。

(写真)戦前のコメット号に貼られた銘板

↑戦前のコメット号に貼られた銘板

幅23mm、長さ60mmの銘板には、「ZEUSマーク」の右に、
   東京 世田谷 株式会社 五藤光学研究所
とあります。戦前で五藤光学が株式会社だったのは、昭和13年~17年の5年間だけですから、このコメット号はその間のいずれかの年に製作されたものということが分かります。格納箱の細かな寸法は、下記の通りです。

(写真)コメット号(戦前)の格納箱の寸法

↑コメット号(戦前)の格納箱の寸法

縦板は厚さ12mm、横板は11mmで、そこそこですが、底板と蓋の天板に大きく長い亀裂が入っています。

(写真)コメット号(戦前)の格納箱

↑コメット号(戦前)の格納箱

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