更新日 2018.6.11
このように、この日食の中心線は非常に狭いので、ちょっとでもズレていると金環食が見られなくなります。
↑萩原雄祐著『星座の縮図』読売新聞社発行
ところで、昭和30年(1955)に発行された、萩原雄祐著の『星座の縮図』(読売新聞社発行)に、
「天文台の広瀬さんは日食の時刻の予報を正確にするために、過去からの掩蔽の観測を欧米のと日本のとを整理しつつ、その間に系統的の相違を発見して、これを日本の鉛直線偏差に帰した。このアメリカ地理学会の研究計画は日食をビルマ、タイ、中国、朝鮮、北海道、アリューシャンで観測して地球の形と大きさとを出そうとするのである。それには日食の中心線で観測しなければならない。この時の日食の中心線はしかし非常に狭いので広瀬さんのこの研究は致命的なものである。昔から知っているヤーキス天文台のヴァンビースブロック博士が、白髪をなびかせて日本へきた。朝鮮でのこの日食を観測するためである。この人をつかまえて、歓迎と共に、学術研究会議でこの問題の討論をやった。ヴァンビースブロック博士は広瀬さんの説に賛成して朝鮮の観測地をずらすことにした。それは朝鮮が日本からの三角網で測量されていたからである。と同時にオキーフ博士も礼文島の観測地を日本のいう通りにした。このために私は礼文島の日食の日にはひどく気をもんだものである。それと知らぬ新聞班はまわりを取り囲んで放さないので、下手な和歌を作って追っぱらった。」とあります。
↑新聞に掲載された萩原雄祐博士が記者を追い払った和歌
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