更新日 2018.7.23
これら、カタログ、定価表、展示会、実際の日食観測などの資料をみると、この型式のシーロスタットは、昭和10年代から30年代の長きに亘って愛用されたことが分かります。
また、米国の礼文島金環日食観測隊が、使用後に日本の大学に残してゆく予定が、使ってみると非常に好成績だったので、予定を変更して米国へ持ち帰った。と五藤齊三著の『天文夜話』にあります。このシーロスタットは、ご覧のように何の変哲もない簡素な機構のものです。それが、どうしてこのように愛用されたのでしょうか。
↑五藤光学製の設置型シーロスタット
塔望遠鏡やスペクトロヘリオスコープ等に使われる設置型のシーロスタットは、前掲の写真のように、しっかりした鉄製の枠の上に設置され、1次鏡と2次鏡は前後左右にモーターで遠隔操作できるようになっています。従って、米国の観測隊が、シーロスタットは重いため飛行機に積みにくいといって持って来なかったのも頷けます。その点、礼文島に持って行った五藤光学製のシーロスタットは、下に敷く鉄製の枠などはなくシンプルな機構ですから機動性に富み、日食の遠征にはもってこいのシステムだったということです。
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