更新日 2018.11.26
まず、鏡筒バンドですが、五藤光学が最初に製造販売した1インチ望遠鏡の「乙号」や「野外用」のように、鏡筒が紙製の場合は別にして、五藤式天体望遠鏡の古いものは、殆んどが筒受けになっていて、鏡筒バンドのものは見たことがありません。
↑戦前(左)と戦後(右)に作られたコメット号の筒受
つぎに、接眼部ですが、当初はドロチューブが付いていないように思いましたが、そうではありませんでした。H.S.さんのメールで、カートンのDEUS型の接眼部に似ているということだったので、画像を送っていただきました。それは、五藤光学が昭和29年から34年まで販売した、「五藤式40×~80×天体望遠鏡『組立キット』の接眼部と同じような構造のものでした。
↑五藤式40×~80×天体望遠鏡『組立キット』の接眼部
この接眼部の合焦システムは、ラチェット式で、粗動はドロチューブをカチッ、カチッと引き抜いたり差し込んだりして行い、微動はドロチューブを左右に回転して行う方式のものです。『組立キット』のドロチューブはエボナイト製ですが、今回のものは金属製のようです。そのようなものは、はじめて見ます。
つぎに、対物レンズ枠のフードです。どうも、五藤式天体望遠鏡の対物レンズ枠とは形状が違うようです。五藤式天体望遠鏡の場合は、光軸修正装置の付いたウラノス号のような高級品の対物レンズ部は、対物レンズ枠が鏡筒枠の中にねじ込まれ、その上からフードが差し込まれています。しかし、普及型のものは、対物レンズ枠とフードが一体となった、下の写真のような形状をしています。このようなことから、今回の鏡筒は、五藤光学製とは考え難いようです。
↑アポロン号(左)とコメット号(右)の対物レンズ枠
< 1.にもどる | 3.にすすむ > |