連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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構造から見た謎の鏡筒 1/3
~2017年10月にヤフオクに現われた謎の鏡筒とその格納箱~

更新日 2018.12.11

その後の経過

この謎の鏡筒は、2017年10月にヤフオクに出品され、入札開始日時は、2017年10月04日(水)の22:48、 入札終了日時は、2017年10月11日(水)の22:43 でした。
幸い、私たちが落札しましたので、早速、K.N.さんとメールで打ち合わせを行い、13日に格納箱の代金をK.N.さんに振り込みました。
鏡筒がK.N.さんのところに届いた後、H.S.さんと見ていただき、16日に私のところにゆうパックで送っていただきました。
私のところには、17日に届きましたが、その日は格納箱の清掃を行うのが精一杯でした。また、18日は用事で一日横浜に行っておりましたので、鏡筒の調査は19日から開始しました。
紙テープで印をつけながら、丁寧に分解し、写真撮影と各部の寸法を測定し、対物レンズ枠や接眼部などの図面化を行いました。そして、あまり遅くなっては失礼なので、詳しい調査は後で行うことにし、鏡筒をウラノス号4型の空き箱に入れて、23日に宅急便でK.N.さんに送らせていただきました。

普及型の対物レンズ枠(1)

それでは、先ず、対物レンズ枠から調べてみることにします。古い五藤式天体望遠鏡の対物レンズ枠には、大きく分けて2種類あります。
一つは、フードと対物レンズ枠が一体となったもので、1インチの対物レンズ枠のような形式のものです。

(写真)1インチ望遠鏡「甲号」(左)と「野外用」(右)の対物枠

↑1インチ望遠鏡「甲号」(左)と「野外用」(右)の対物枠

この形式のものは、前回の「落札してから調べよう」でも紹介したように、アポロン号やコメット号の対物レンズ枠も同じものです。 もう一つは、ウラノス号4型のような高級品の対物レンズ部です。つまり、対物レンズ枠が鏡筒枠の中にねじ込まれ、その上からフードが差し込まれている形式のものです。

(写真)ウラノス号4型の対物レンズ部

↑ウラノス号4型の対物レンズ部

上の写真中、後ろの白い筒が「フード」で、左にあるのが「光軸修正装置」と「鏡筒枠」が一緒になったもの、右にあるのが「対物レンズ枠」、そして手前にある銀色のものが「キャップ」です。

(写真)ウラノス号4型の対物レンズ枠

↑ウラノス号4型の対物レンズ枠

対物レンズ枠は、上の写真のように、後ろの「対物レンズケース」、右の「対物レンズ」、手前の「中間リング」、の「押えリング」に分解できます。対物レンズケースに、対物レンズ、中間リングの順に入れ、押えリングで締めます。その締付具合は、映像に重大な影響を与えるので注意が必要です。普通、対物レンズ枠を水平に持ち、上下に振ったときに音がしないように、水平に振ったときに僅かにコトコトと音がする程度に締め付けます。

(写真)ウラノス号4型の対物レンズ部の断面図

↑ウラノス号4型の対物レンズ部の断面図

ウラノス号4型の対物レンズ部の、個々の部品の寸法を測って部品図をつくり、それらを組合せて断面図にしたのが上の図です。

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