更新日 2018.12.17
それでは、今回の謎の鏡筒の対物レンズ部は、一体どうなっているのでしょうか。早速、調べて見ることにいたしましょう。
↑謎の鏡筒の対物レンズ枠
今回の鏡筒の対物レンズ枠は、鏡筒がブリキでできているので、ねじを切ってねじ込むというわけには行きません。差し込んで丸ネジ3本で止めています。
↑今回の謎の鏡筒の対物レンズ枠
上の写真は、ウラノス号4型の対物レンズ枠と同じようなポーズで撮影した、今回の鏡筒の対物レンズ枠です。ウラノス号4型の部品は、真鍮製ですが、今回のものはアルミ製です。早速、断面図を作ってみました。
↑今回の鏡筒の対物レンズ枠の断面図
するとどうでしょう、前に掲げた〔ウラノス号4型の対物レンズ部の断面図〕の、赤い部分の「対物レンズ枠」にそっくりではありませんか。
そこで、もう一度、昭和23年の五藤式天体望遠鏡のカタログを見てみましょう。
↑昭和23年の五藤式天体望遠鏡のカタログ
このカタログは、ビクセン光学の前の社長だったA.S.さんが、小さい頃に集めた望遠鏡関係の資料を、スケッチブックに貼り付けて作った『天体望遠鏡小史』を、H.S.さんがいただいたものをスキャンさせてもらったものです。
ここに、五藤式普及型天体望遠鏡『ダイアナ号』の説明文が掲載されています。ここで、「普及型」というのはどういう意味でしょうか。カタログ中央の「組立用光学部分品」というところを見ていただきたい。
対物鏡のところに、
高級品 58粍 F800粍 定価・・・・・4,000円
普及型 58粍 F800粍 定価・・・・・1,800円
とあります。
しかし、対物レンズは高級品だからきちんと磨き、普及型だからいいかげんに磨くということはありません。従って、レンズ自体は同じものと考えられます。それでは、この価格差はなんでしょうか。それは、レンズ枠の差ではないかと考えてみました。
つまり、ウラノス号4型の対物レンズ部から、フードと光軸修正装置、鏡筒枠を省き、対物レンズ枠を直接鏡筒に取付けるようにし、材料も真鍮からアルミに換えてコストダウンを図り、普及型としたのではないかということです。こう考えると辻褄が合います。
< 1.にもどる | 3.にすすむ > |