連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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格納箱からのアプローチ 2/3
~2017年10月にヤフオクに現われた謎の鏡筒とその格納箱~

更新日 2019.1.21

普及型『ダイアナ号』とはどんなもの?(1)

そこで、この謎の鏡筒が、五藤式普及型天体望遠鏡『ダイアナ号』だとすると、架台と三脚はどのようなものだったのかという疑問が湧いてきます。
それでは、前々回の「落札してから調べよう」で紹介した、昭和27年のカタログを見てみましょう。

(写真)昭和27年発行のカタログ

↑昭和27年発行のカタログ

右下の望遠鏡の挿絵の左に、「コメット号三脚、架台にウラノス号附属品を使用『スバル号2型』として発賣する」とあります。これは、コメット号の三脚と架台に、ウラノス号の鏡筒と付属品を使ったものを「スバル号2型」として発売するということです。
これと同じように、コメット号の三脚と架台に、ウラノス号普及型の鏡筒と付属品を使ったものを「五藤式普及型天体望遠鏡『ダイアナ号』」としたのではないでしょうか。
また、昭和23年発行のカタログの、五藤式普及型天体望遠鏡『ダイアナ号』の〔付属品〕のところに、
「木製二段伸三脚 1組」
とありますので、戦前の昭和13年~昭和17年に製造販売されたコメット号の三脚と、戦後の昭和25年に製造販売されたコメット号の架台を用いて、五藤式普及型天体望遠鏡『ダイアナ号』を再現してみました。
ただし、コメット号の架台に、今回の鏡筒に付いている方位回転軸が、ぴったり合ったわけではありません。あくまでの形態の再現です。

(写真)再現された五藤式普及型天体望遠鏡『ダイアナ号』

↑再現された五藤式普及型天体望遠鏡『ダイアナ号』

さらに、付属品の天体用接眼鏡は27×・64×・89×、地上用接眼鏡が40×とありますので、H30mm・H12.5mm・H9mmの接眼鏡と、T=20mmの地上用接眼鏡と、サングラスが付属していたはずです。そこで、付属品の接眼鏡も再現してみました。

(写真)普及型『ダイアナ号』の付属品の再現

↑普及型『ダイアナ号』の付属品の再現

ただし、バレルが25.4φのツァイス型の地上用接眼鏡で、焦点距離が20mmのものが手許にありませんでしたので、ここではT-30mmのものを入れてあります。 それでは、今回の鏡筒が、五藤式普及型天体望遠鏡『ダイアナ号』のものであることを確かめるために、それらを格納箱に収納してみることにします。

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