更新日 2020.10.23
太陽投映機は、正確には「太陽投映並プレパラート投写機兼用地上接眼鏡」といいます。名前が示す通り、太陽を投映して見せる他、途中にプレパラートを入れると顕微鏡像が投映でき、また、先端のプリズムから覗くと左右は逆になりますが、上下は実際の景色のように見えるので地上用接眼鏡としても使えるという代物です。しかし、投映レンズ(接眼鏡)は視野・眼レンズともに金枠にカシメてあるので、どのような型式の投映レンズか分かりませんでした。
これまで、手許にはレンズにダメージのある、錆びた外観の古い太陽投映機しかありませんでした。しかし、先日、比較的状態の好い太陽投映機を入手したので、古い方のレンズを外して調べてみることにしました。また、新しい方の太陽投映機も分解して、構造が分り易いように、部品を測定して図面にしてみることにしました。手書きの図面をパソコンに取り込み、それをパワーポイントで描き直したのが下の図です。
↑太陽投映機の部品図
その結果、投映レンズ(接眼鏡)の型式が色消しラムスデン(Plossl型)であることが分かりました。それぞれの部品を組み立てるとつぎのようになります。
↑太陽投映機の組立図
また、太陽投映機各部の名称は下図のようになります。
↑太陽投映機各部の名称
そこで、投映レンズ(接眼鏡)の視野レンズと眼レンズの間隔を測ってみると42mmでした。
↑投映レンズの視野レンズと眼レンズの間隔
つぎに、視野レンズと眼レンズの焦点距離を調べることにします。
↑焦点距離測定装置
普通、接眼鏡などの焦点距離を正確に測定するには、「焦点距離測定装置」を用いて、ノーダルスライド法によって測ります。しかし、そのようなものが手許にありませんので、太陽を用いた簡易的な方法で、視野レンズと眼レンズの焦点距離を測り、計算によって合成焦点距離を求めることにします。
↑レンズの簡易的な焦点距離測定装置
その結果、視野レンズが約130mm、眼レンズが約75mmでした。そこで、視野レンズをf1、眼レンズをf2、両レンズの間隔をdとすれば、合成焦点距離Fは、
F = (f1×f2)/(f1 + f2 - d)= 59.8mm
となり、約60mmであることが分かりました。
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