連載 星夜の逸品 -児玉光義-

ドームなび GOTO投映支援サイト

異色の天文学者・山崎正光(第二部) No.1 7/9
~日本人として初めて新彗星を発見し、日本に最初にガラス製反射鏡の研磨法を伝えた学者の生涯~

更新日 2023.2.17

 山崎氏の北海道皆既日食の話は、これで終りのようだが、観測が終了した後、朝日新聞社の方はどうしたのだろうか。
 日食が終ると早速朝日新聞の飛行機が飛んで来た。地上では、2本の太くて長い竹竿を立てて、その間に張り渡した綱の中央に、上方に向かった大きな輪を付けたものにフィルムの包を付けたものをぶら下げた。飛行機は、大きな鉤をぶら下げて飛んで来て、鉤にその輪をひっかけて回収し、日食終了15分後には東京に向かって姿を消した。
 東京の朝日新聞では、翌日の夕刊1ページに日食の写真を掲載し、報道映画用のフィルムをリプリントして、郊外の数箇所で野外上映会を開催して一般大衆に公開し、大喝采を博したということだ。
 一方、読売新聞は、観測隊を組織しなかったので、現地の学術観測隊を回って、取材し写真をもらい、札幌までは自動車で、札幌からは待機していた社の飛行機で東京に送った。しかし、仙台郊外の低い山に飛行機が突っ込み、それでもフィルムだけは急行列車に積み込み、東京の赤羽駅に待機していた自動車で社に持ち込んで報道したが、翌々日の朝刊に掲載するのがやっとだったということである。


 7月1日 朝、観測の後で、とかげ座新星のスペクトルの写真を撮る。また、100mm 90倍で土星を見る。
環は、全く見えない。ただ、土星の赤道に、横に淡くベルトが見える。

 7月17日 午後8時30分、東京天文台の下保 茂君、彗星を発見す。その位置、

Ⅶ  17d 11h 42m UT
α= 10h 03.6m
δ= 34°36′  光度 6等 尾あり。

すぐ、こちらでも見ようとしたが、なにぶん西の方に雲があり、且つ、薄明が明るいので見えない。写真も度々撮ったがダメ。

 7月18日 ペルチャー彗星 よく見え出した。双眼鏡で見るに、1/2°くらい尾がある。

 7月19日 ペルチャー彗星の写真を撮る。よく出ている。場所は、はくちょうの星座。

 7月21日 ペルチャー彗星の写真を撮る。大変よく出た。

(写真)

 8月1 - 6日の午後まで渡波に旅行。その間、水沢は毎日雨、くもりとのこと。

 8月7日 8時5分 東南の地平線の上に、ペルチャー彗星が見える。写真に撮ったが、月の出る前で明るいため、彗星はよく出ない。全て薄い。光度3等くらい。
それより天気悪く、彗星は南に去ったので見えなくなった。

 8月11日 11時16分 - 11時33分、この間に雲の晴れ間で 流星5個を見る。みな 1 - 2 等星くらいのもの。
11時33分 - 11時54分、流星8個を見ゆ。
0時27分 流星1個、
雲の間で見たものであるが、radiant point(流星の輻射点)は、アンドロメダらしい。ペルセウスではない。

 14日 この晩 10時ごろから1時間ばかり晴れたので流星に注意したが、流星1個を見たのみ。ペルセウスの観測をしようと思ったが、毎晩くもりでダメである。(8月16日)

 8月17日 この晩は、久し振りに完全に晴れた。7時5分ごろより彗星を探る。11時までに晩方の天を全部探る。流星を2個見る。
8時5分ごろ、木星の衛星が西に4個見えた。

(写真)

4個が同じ方角にあることは、度々あることではあるが、これを見ることはかなり珍しいことである。

 8月20日ごろから9月20日ごろまで、ひと月の間全く天気悪く、毎晩くもりまたは雨であった。

 9月21日 天文電報
Nova Aquilae tamm
18080 September 19150 19140 20136 76506
Stroemgren、
Tamm が わし座に新星を発見す 光度8等

9月18日19時15.0分

α= 19h 14.0m

 

δ= +1°36′

1900.0

α= 19h 12.2m

1855

α= 19h 10.0m

 

δ= +1°33′

 

δ= +1°28.5′


 9月22日
Comet Jackson 20124 September 20116 22598 11247 20105 10025 04215 Stroemgren.
Jacksonが彗星を発見す。
9月20日20時11.6分 光度12等 彗星状

α= 22h 59.8m

⊿α= +1m 5s

δ= -12°47′

⊿δ= -0°25′


 9月24日 この晩は、完全に晴れた。緯度観測の後、
1h 5m- 3h 15m まで彗星を探る。変ったものなし。(9月25日 朝)
--------------------------------------
写真を測るとき、今までの星図写真では、縁があまり良くないので、今度、中間写真を撮ることになる。まず、赤緯35°より南を始む。
このプログラム(計画)によれば、赤緯は今までの如く2のカメラの中心が14°の距離であるが、赤経は前のプログラムと合わせた時、30m くらいの離れとなるから良いと思う。今までは、赤経があまり離れ過ぎていた。この中間プログラムで撮るべき場所が 72回のロスで144の場所となる。

< 6.にもどる 8.にすすむ >

このページのトップへ