更新日 2023.3.3
わし座新星 #5、#6 を、望遠鏡で観測するついでに、変光星の観測を始む。今まで、長い間変光星の観測を止めていたが、月夜の晩を利用する上において、変光星の観測がよいので、また、この仕事を始めた。4インチの望遠鏡は、どうもよく見えなくなったようである。
☆ 1937年10月24日の日記には、自分は1926年から変光星の観測を・・・・・・・、最後は1941年・・・・・・・ハーバード天文台に送った報告が、行かずに帰って来たのが最後・・・・・・。
(この注は、コピーが薄く読めない部分があり、その部分は“・・・”で示しました。)
11月6日 この晩は、ちょっとよく晴れた。写真を2回撮る。1回はネオクロームという日食に使った乾板をO-1200と比較した。ネオクロームの方がだいぶ速いようである。
現像は、プロ・ソーダ現像液で10分、普通の赤い暗室用のガラス-窓でやったが、別にかぶれるようなこともない。
11月14日 |
11月12日 11h 30m - 11h 55m ζGem(N) |
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11月13日 0h 6m - 0h 36m λGem |
の場所2回の写真を調べたところ、
1855分点 α= 7h 9m 30s δ= +19°50′
のところに、光度8等の星あり。黄道なるが故に小惑星と思う。こちらに、“Kleinen Planeten(小惑星カタログ)” がない故にチェックすることが出来ない。取敢えず、東京天文台につぎの電報を出す。
シンセイカ ワクセイカ、イチ1855ネン 7ジ9フン ハン、キタ 19ド 50フン、コウド8、ヤマサキ。
なお、今晩、晴れたときは、写真により3日の間に動いたか否やを見る考え。
今晩、晴れ間もあったが、緯度観測のため写真は撮れない。後で、 2時ごろから写真を撮るべく始めたけれども曇る。
そのとき、電報あり。
オシラセノ ホシハ ベスタナリ、ヤマモト一セイ
とあり、よってこの星は、やはり小惑星であった。こちらには、“Kleine Planeten”という小惑星の表がないため、調べることができない。
夜が明けて、東京天文台からも同じような電報あり。「オシラセノ ホシハ ショウワクセイ ベスタ トオモワレル、テンモンダイ」
11月17日、この晩、6時過ぎからよく晴れた、先ず、わし座新星 #5、#6を観測し、それから彗星を探す。2時間ばかり見て、また変光星を観測しょうとしたところ、11時ごろからすっかり曇る。
この晩、変光星の図によって、4インチの性能を試す。この4インチは、アメリカにあるときは、光度12.4等までを見えていたが、レンズも少し悪くなったので、だいぶ見えが悪くなったであろうと想像していた。ところが、今晩の試験では、天頂距離59°で12.3等星がやっと見えた。天頂距離による光度の補正0.46を加えて、天頂では12.76等まで見えることになる。性能に変わりのないことを知る。それで、天頂距離 35°くらいのところでは、完全に晴れたとき、やっとピカピカと見える程度の星は、12.6等と思えばよい。天頂距離が増すに従い、薄いものは見えなくなるのである。
11.0等星は、上の場合いつでもはっきりイメージが分かる程度である。
うお座λ星の近くと思われるところに、非常に赤い星がある。光度7等くらい。うさぎ座R星よりもまだ赤いかも知れない。
11月20日 この晩は、完全に晴れた。5時5分ごろから先ず変光星を見る。月あり。月が9時5分ごろ入ってから、写真を3回撮る。大変寒く望遠鏡は霜がいっぱい着く。
11月25日 この晩よく晴れた。7時から9時5分まで変光星の観測をなす。だいぶ寒い。月のため星が薄い。
11月30日 この晩、はくちょう座SS星が、光度を急に増したことを知る。
今度、変光星の観測をはじめてから、自分の左の目がだいぶ変になっていることが知れた。望遠鏡47倍で視野55′のとき、いつも上の方が見えなくなる。これは、目の悪いためである。それで、変光星は右の目で見ねばならぬ。
目の玉を上に動かせば、視野からのくことが出来るから、目の中央から少し上が曇っているわけである。これは、昼間 試験しても明らかに分かる。中央が曇っていないから、ものを見るには差支えない。
12月1日 10月、11月に成した変光星の観測を、東京天文台の神田君、およびアメリカハーバード大学天文台の Leon Camphell 教授に送る。
観測した変光星の数19、観測数35。
星の光度(magunitude = 等級)
Henry Draper Catalogue(HD星表)に出ている方法。
Ptm、photometric mg. H.A. 50 もしくは 54 に出ている星の等級は、100分台まで出ている。
その外の星で、ボンまたはコルドバ星表にあるものは、
H.A.72、214、245 または HA 80、132 に出ているスケールにより作ったものである。これらの
星の等級は、10分の1台まで出ている。
赤緯 -62°より南の星は、写真等級から色指数を引いてこしらえてある。
色指数
B0 -0.24、 |
B1 -0.22、 |
B2 -0.19、 |
B3 -0.17 |
B5 -0.12、 |
B8 -0.05 |
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A0 0.00、 |
A3 +0.08、 |
A5 +0.14 |
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F0 +0.28、 |
F2 +0.34、 |
F5 +0.42、 |
F8 +0.50 |
G0 +0.56、 |
G5 +0.78 |
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K0 +1.00、 |
K2 +1.07、 |
K5 +1.18 |
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M +1.35 |
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次回もお楽しみに。