更新日 2023.8.4
10月7日 午前8時37分 太陽の写真を撮る。図の如き位置に、大きいグループがある。1は、グループとしては大変大きく、黒点がたくさん集まっておる。肉眼ではっきり見えた。2もまた、肉眼に見える。
10月5日の晩の放送で、東京科学博物館の知らせとして、この黒点の大きいことを放送した。独立の黒点では、これよりも大きいものはたびたび見えるが、クループをなしたものでは、大変大きいものである。肉眼ではおのおのひとつの黒点として見える。黒点が肉眼で見えるというのは、このようなときであろうと思う。
もし、独立の黒点で肉眼に見えるとなると、とても大きいものであるに違いない。
10月8日 先に、泥棒に盗られてからカメラがなかったのでひとつ買った。
Kinka、Meyer 6.3 anastigmat vario
レンズの大きさ 21.5mm
焦点距離 13.5cm
シャッター速度 1/25、1/50、1/100、B、T
これに、前のフィルターや補助レンズをそのままつけることが出来る。ポートレート・アタッチメントをつけて広角度(ワイドアングル)とせば、
焦点距離10.5cm
即ち、F 1:5
望遠レンズをつけて、焦点距離20cm
即ち、F 1:9
シャッターは、B または 1/25 -1/100 を押したとき、カチ という音がしたとき止めて手を放せば、時間はその手の運動だけ止まり、1秒でも1/10秒でもだいたい撮ることができる。遅いレンズを使うときに、心得ておくとよい。なお、Vest pocket camera(小型カメラ)においても、これと同じである。この方法は、B を押して時間をかけるよりも、カメラが動かない特典がある。
10月24日 1926年10月8日に、いて座新星を肉眼観測してからずっと、今日まで変光星の観測を続けた。この日までに、長周期変光星の観測せられたものは158になり、毎月5 -60の観測がある。
星図は250枚あるから、これを全部見る考えである。天体写真は、乾板代がそうとうかかるから今止めている。
11月1日 天文電報
#1. Object Reinmuth 28100 October 22276 01342 20806 72524 hourly motion 21 arc minutes direction 105 or 285 degrees kobold stroemgren skiguti Reinmuth object.
10月28日22h 27.6m
α= 1h 34.7m δ= +8°06′
毎時間の運動 弧の21′
位置角 北から285°
光度10等
#2. Object Reinmuth 29080 October 22180 00307 21137 72704 schlavick stroemgren skiguti,
Reinmuth object mag. 8
10月29日22時18.0分
α= 0h 30.7m δ= +11°37′
前の報告と比較して、
日々運動 ⊿α= -1h ⊿δ= +3°
11月2日 午後7時5分-7時36分 ペガスス座5星を中心に写真を撮る。Reinmuth Objectの場所が確かでないが、この場所にはそれらしいものは見えない。8時-10時まで彗星を探す。
11月18日 この晩方月食がある。月は欠けて出る。こちらでは曇り。7時過ぎ雲の間で欠けた月をちょっと見る。雲多く怪しいのでダメ。
12月3日 昨晩からの雪で、12cmも積もる。ちょうど太陽のあるところに雲があって退かない。風強し。
7時20分頃にわかに暴風になり、五藤君も6インチの屋根が飛ぶやら散々であった。日食は全くダメ。
時局に関する知識、毒ガス、科学知識 昭和12年12月号
毒ガス用原料 鹽素、硫黄、砒素
鹽は日本では不足、年産130万瓲は需要の
半分にも満たず。硫黄は年産十数瓲、十分。
砒素は足尾銅山等にて豊富に製産す。
主なる毒ガス、
ぢほすげん 液状、酸化炭素と鹽素の化合、CoCl2
特性、腐敗する堆肥の臭気。窒息死に至らしむ。空気一立方米に50mgの
ヂホスゲンあれば十分間にして死す。
イブリット (一名、マスタードガス)無色液、
二鹽化硫黄にエチレンの化合物。特性、かぶれの臭気。空気一立米中に0.5gm、
あるもの十分間または 70mg あるもの三十分間にて致死。
始め火傷の如く、痒味を生じ水泡が出来る。除毒にはクロルアミン水溶液に晒粉。
クロルピクリン、 催眠ガス
一立方米中に60mgあれば一分間にて致死。
ヂフェニル、シヤン、アルシン、(C6H5)2AsCN、
くしゃみガス、毒ガス中の毒ガス。
一立方米空気中に 0.03mg あれば致死。
防毒材料
活性炭、 石炭、木炭、ヤシ炭 等にて製造。
中性のガスなれば凡てに応用出来る。之
にて防毒し得ないガス、一酸化炭素、
アンモニア、青酸、ホスゲン、砒素系毒物、
個体微粒子。
ソーダ石灰、酸性の気体に応用、
活性炭へ混用す。
ポプカリット、 一酸化炭素を酸化して無害とす。
キュプラマイト、アンモニアを吸収す。
フェルト、綿紙 微粒子状毒物を濾す。
---------------------------------------
消毒剤
チオ硫酸ソーダ液 鹽素を中和す
植物油
ヘキサメチレンテトラミン、ホスゲンを中和す。
過酸化ソーダ液、クロルピリリンを中和す。
錯酸ニッケル液、青酸を中和す。
過マンガン酸カリ、イブリット、ルイサイトを中和す。
晒粉、晒粉乳剤、クロルアミン、同上の使途、
防毒衣用、ゴム、油布、膠布。
12月3日以来雪また雪、大変天気が悪い。
12月の終りには40cmの雪となり、赤道儀の観測は、先ず休みの状態である。
< 3.にもどる | 5.にすすむ > |