連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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異色の天文学者・山崎正光(第二部) No.2 6/8
~日本人として初めて新彗星を発見し、日本に最初にガラス製反射鏡の研磨法を伝えた学者の生涯~

更新日 2023.8.25

 7月5日 天文電報
Comet Finsler zurich
04074 July 00326 03061 23827 20048 20036 71372 moeller, Sekiguti.

Finsler彗星、チューリヒ、光度7等、彗星状
7月4日 0時32.6分
α= 3h 6.1m       ⊿α= +0m 48s
δ= +38°27′      ⊿δ= +0°36′
moeller.  関口  報告

場所  ペルセウス座β星とξ 星の中間
Finsler彗星  1037f(6)

 7月8日から17日まで、毎日曇りまたは雨、全く観測なし。

 7月24日から31日まで、毎晩緯度観測のため別の観測できず。

 8月1日から7日まで、ワタノハ海岸に行きしため、観測なし。

 8月6日 Comet Hubble 04134 August 11393 22493 12100 10030 10006 70156 Shapley Stroengren.

Hubble彗星  光度13等  彗星状
1937年8月4日11時39.3分  UT(世界時)
α=  22h 49.3m      ⊿α= -30s
δ=  -21°  0′      ⊿δ= -6′
Finsler彗星が明るくなったとの報あり。

 8月9日4時-9時5分まで、8cm、6.5cmのカメラをもって写真を撮る。
おおくま座のε星より北10°のところにあって、肉眼に見える。1インチファインダーでは、尾の長さ2°くらい。尾は肉眼ではあまりよく見えないようであるが、写真では薄いけれども、大変長く8°くらいまで認める。

8時40分には、BD(ボン星表)63.1032°(8.9等)が掩蔽した。アイピース90倍でcross wire(十字線)のため中心は見えなかったが、彗星の頭の中へ入ってからしばらくは見えていた。
46分には、既に反対の側に見ゆ。ほとんど頭の中心を通ったらしい。
尾は、はじめ二つあって、終りの方で4に分れている。核(Nucleus)はっきり見える。

(写真)

(写真)

 右のページの新聞の切り抜きは、ロサンゼルスのRoot夫人が親切に送ってくれたものである。自分の写真が岩手日報に出たのも同じ場所である。右の切り抜きも半日くらいの差で、上の写真と同じ場所である。(※入手したコピーには新聞の切り抜きは無かった。)

 8月10日 8時10分-9時4分まで Finsler彗星の写真を撮る。尾は、頭のところから1つ独立の尾が出ている。

(写真)

 メインの尾は2つに分かれ、なお、それが先の方でも分れて見える。頭の後にも尾を作るらしいこぶが見える。尾の長さ9°はある。

 8月11日  曇り。

 8月12日  8時33分-9時26分まで彗星の写真を撮る。始めは月がまだあった。後で曇った。彗星はだいぶ小さくなった。薄い雲のためあまりはっきりしない。尾の長さ8°くらいまでは認める。

 8月13日  曇り、AAVSOから変光星の図52枚来た。\9.50

 8月14日  晩、月ありしも彗星の写真を撮る。30分の露出で相当かぶれているが、尾の長さ6°くらいは認める。

 8月15日  曇り。

 8月16日  神戸の橋詰の弟がみえたので忙しい。

 8月17日  晴れ。晩方は、弟がいるため忙しい。

 8月18日  曇り。

 8月19日  〃

 8月20日  月、十五夜であるから大変明るい。彗星を見ず。変光星を少しばかり見る。
この朝の岩手日報に、自分の撮った箒星の図が出ている。

 8月24日  月が大変明るい、これでも彗星の写真を30分の露出で撮ってみた。かぶれてだめ。それでも位置だけはよく分かる。
 8月26日  月の出る前に20分の露出で、彗星の写真を撮る。10cm 40倍で尾が30分くらいは見えた。写真でも1°あまりの尾がある。だいぶ薄くなった。しかし、大きさは、まだ10′もあるらしい。

 7月18日  この晩久し振りに晴れた。6月3日より始めての観測である。6月には中で一晩よく晴れたのみでくもりまたは雨で、緯度観測はわずかに24個だけできた。
この晩、変光星 てんびん座RU星を観測せるとき、てんびん座γ星の北西10′のところに明るい星が見えた。多分小惑星ベスタであろうと思う。
ポピュラー・アストロノミー7月号 No6に、ベスタは7月18日にてんびん座γ星に接近するとあったので、ベスタでありしことが分かった。

カリフォルニア大学のLeuschner教授は、6月30日で辞めた。50年の間大学で勤めた。

Popular Astronomy August-September, 1938, No.547.
Dr. Williams Wallace Campbell, seventy-six, renowned astronomer and president emeritus of the University of California, his mind forget by fogged by aphasia(言語不随)and nearly blind, penned a note to his wife in which he wrote: “It is better that I go away with my power nearly all gone”, and then make his final expedition into the infinite on June 14, a suicide.

 10月17-18日  17日の晩は霜。
18日の朝は、ひどい霜あり、氷張る。

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